不眠の原因は?不眠症とメラトニンの関係

睡眠がわれわれ人間に不可欠なものであることはどなたもご存知だと思いますが、仕事の失敗や将来への不安、その日に起きたこと、次の日の大切なプレゼンなど気にかかることがあるとなかなか眠れない、あるいはそういったものがなくても日ごろから寝つきがわるいという方も多くいらっしゃいます。

睡眠の効果は身体を休める事だけでなく、体内時計をリセットする作用もあれば、うつ病の方の七割以上が不眠症も患っている、あるいは不眠症の方の大部分にもうつ病の傾向がみられるなど精神衛生上も睡眠は効果を発揮してくれます。

一時的なものであればまだ良いのですが、慢性的に睡眠不足になると日中、眠くてイライラする、精神が不安定になる、など生活の質を落とすことにもつながってしまうので、ご自分で改善に向けた努力をすると共に、どうしても治らないときは専門家に相談するようにしましょう。それでは記事を始めてまいります。

不眠の原因

日本においては5人に1人が悩まされているとも言われる、不眠症。不眠症とは長期間にわたって十分な睡眠がとれず、そのために心身に不調をきたして日中の活動にも支障が出てしまうことを言いますが、主に、横になってもなかなか眠れない「入眠障害」、眠りが浅く途中で何度も起きてしまう「中途覚醒」、早朝に目覚めてしまいそれ以降は眠れなくなってしまう「早朝覚醒」、きちんと寝ているはずなのに目覚めが悪くぐっすりと寝た気がしない「熟眠障害」の4つに分けられます。

いずれの場合もその原因の多くはストレスなどの心の問題、あるいは他の疾患が引き起こす体の問題と言われており、中でもうつ病は不眠症を伴う心身の疾患として有名です。またうつ病とまではいかなくても強いストレスは交感神経を優位にさせてしまうため、本来睡眠時に優位になるべき副交感神経を抑え込んで、入眠障害を引き起こしてしまうことが少なくありません。その他、高血圧や糖尿病、心臓病や脳梗塞などの疾患も、不眠を引き起こす原因になると言われています。

不眠とメラトニンの関係

一方、心身共に健康であっても生活習慣の問題で不眠症になってしまうことがあります。特に多いのは、夜型の生活や夜勤を含む交代勤務などで体内時計が狂ってしまうケース。もともと人の睡眠覚醒リズムは脳の松果体と呼ばれる部分から分泌される「メラトニン」というホルモンと深く関係があり、メラトニンが多く分泌されると深部体温が低下して眠気を感じるようにできています。

このメラトニンは外部からの光によって調整されており、通常、朝、太陽の光を浴びるとメラトニンの分泌が止まり、その後15~16時間後くらいから再び分泌が始まってどんどん分泌量が増え、睡眠時刻になるころには前述のような作用で眠気を感じるようになります。ところが夜型の生活で午前中太陽の光を浴びなかったり、交代勤務で太陽の光を浴びる時刻が不定期だったりすると、メラトニンの分泌リズムも狂って不眠症になってしまうというわけです。

またメラトニンは太陽光だけでなく人工的な照明によっても分泌が抑えられてしまうため、夜間に強い光を浴びてしまうと睡眠に支障を来してしまいます。スマホやタブレットから出るブルーライトも同様にメラトニンの分泌を抑制してしまうため、寝る前にこれらの端末やパソコンを使用することもおすすめできません。特に高齢者はもともとメラトニンの分泌量が大きく減少しているため、睡眠前に携帯端末やパソコンを見る習慣があると不眠症に繋がるリスクが高くなってしまうでしょう。

まとめ

今回は不眠の原因となる不眠症の症状と睡眠を司るメラトニンという物質について記事を書いてまいりました。すでにご紹介していますが、メラトニンは今回ご紹介したもの以外でも分泌量を増やす方法がいくつもありますから、気になる方は調べてみてください。

またメラトニンだけでなく自律神経、特に副交感神経を活発にすることも不眠の改善になります、この神経は簡単に言えば活発化されると身体を休める体制にし、眠気を促します。反対に交感神経というものは日中、活発に活動する神経で、昨今良く言われているパソコンやスマホの画面を眠る前に見ていると目が覚めてしまうという現象はこの神経を活発化させてしまうからであるといわれています。

また画面を見ないこと以外でも以下のような取り組みを行うと身体がリラックスし、副交感神経が活発化されることが確認されていますので、是非、ためしてみてください。

睡眠障がいを改善するためのセルフケア

セルフケアで睡眠障がいを改善するためには、以下のようなことに気をつけましょう。

眠りたい時間の15時間前に太陽の光をしっかり浴びておく

眠る直前にパソコンやスマートフォンを見ない

同じ時刻に起き、同じ時刻に寝る規則正しい生活を送る

寝る前には読書、ヨガ、アロマ、音楽などでリラックスする

寝る前にカフェインや香辛料を摂らない

また、眠れないからと「無理に眠ろうとしない」ことも大切です。ストレスを抱える人は「眠らなくちゃ」と意識しすぎると逆に意識が冴えてしまい、かえって眠れなくなってしまうことがあります。

睡眠時間が少しくらい短くても、日中に眠くならないなら問題ありません。気にしすぎず、まずは心身ともにリラックスできる環境を整えましょう。

引用:日本生命 HP