五十肩は三角筋の炎症?三角筋の働きや五十肩の原因について
四十肩、五十肩と聞くと多くの方は年齢を重ねることで起こる肩の不調?と認識されていることが多いと思います。確かに年齢を重ねると筋肉が硬くなり、炎症などを起こしやすくはなりますが、もちろん若い方にも起こりえるものです。
後述していきますが、簡単に言えばこの不調は痛みによって肩が上に上がらない、というのが主な症状でその原因は肩回りの筋肉が凝り固まっていたり、長い間、酷使されることで疲労が蓄積した結果、炎症が起こり、痛みを引き起こします。
その原因の多くは運動不足によってもたらされますが、スポーツや仕事で肩をよく上にあげるという方もなる可能性がありますから、十分に気を付けましょう。それでは記事を始めてまいります。
三角筋とは
肩は人体の様々な関節の中でも最も可動範囲の広い部分であり、これを支え動かしているのがアウターマッスルである「三角筋」と、インナーマッスルである「腱板」です。
三角筋は上肢の中では最も大きな筋肉で、鎖骨の外側から始まる「前部」、肩峰から始まる「中部」、肩甲骨から始まる「後部」の3つのヘッドで構成されており、これらが肩を覆うようにして下方へ集まって腕骨外側面の「三角筋粗面」に達しています。
この分厚い筋肉は主に上腕を持ち上げる動作のために働き、中部を主軸にして前部が上腕を前方に上げて内旋・水平内転させたり、後部が上腕を後方に上げて外旋・水平外転させたりします。実は肩関節自体は比較的小さな受け皿である関節窩に上腕骨頭がはまっている状態でこれだけでは安定性に欠けるのですが、三角筋のこれらの動きに腱板が共働し上腕骨頭を関節窩に押し付ける働きをするため、肩関節が安定し脱臼を防ぐことができているのです。
五十肩の原因は三角筋の炎症?
腕を挙げようとすると強い痛みを感じるにもかかわらず、レントゲンやMRIで骨折や脱臼、筋肉の損傷などが確認できない症状を一般に「四十肩」や「五十肩」と呼びますが、医学的な正式名称は「肩関節周囲炎」、その名の通り肩関節周囲の組織のどこかが炎症を起こしている状態です。とは言え三角筋が炎症しているというよりは、どちらかというと三角筋の下にあって腱板を保護している「肩峰下滑液包」という滑液の入った袋が炎症を起こしているケースの方がほとんど。特に野球やテニス、バレーボールなどオーバーハンドで肩を酷使するスポーツをしている人に多く、こうして腱板に無理な伸長を強いることで肩峰下滑液包に負荷がかかり、炎症を起こしてしまうのです。
また滑液包は緊張による損傷も受けやすいため、肩を酷使した覚えがなくても炎症を起こしてしまうことがあります。例えば猫背などの悪姿勢により肩甲骨と上腕骨の位置がずれていると三角筋が硬くなり、硬くなった三角筋を動かし続けることでも肩峰下滑液包に慢性的なストレスが加わって、炎症を起こしてしまうことがあるのです。
一方、肩関節周囲炎の中には実際には炎症ではなく筋肉や筋膜が硬くなって起こるものもあります。例えば前方から腕を挙げようとすると痛みがあるまたは可動領域が狭くなっている、あるいは痛みのある方を下にして横向きに寝ると痛むという場合は、後部三角筋や棘下筋と呼ばれる筋肉の硬化が原因となっている可能性があります。
まとめ
今回は痛みによって肩が上がらなくなってしまう五十肩について記事を書いてまいりました。文中に記載がないように名前の影響からか、五十歳あたりで起こると誤解されていますが、原因は肩回りの炎症にあります。
肩関節は他の関節とは異なり上下左右に動く自由な関節ですから、動かなくなってしまうとその分、不自由が大きくなってしまうので、日ごろからキチンと稼働させて柔軟にし、また同じ姿勢を長時間取るなど筋肉に負荷がかからないようしましょう。
また単純なスポーツやジョギングだけでは肩回りがあまり動かない動作もあるので、例えば意識的に下記のようなストレッチも生活に取り入れてみてください。
座ってできる三角筋ストレッチ
椅子に座ってできるストレッチです。三角筋中部・三角筋後部を伸ばします。
- 椅子に座り背筋を伸ばす
- 右腕を左腕で抱え、クロスさせる
- クロスさせた腕で手前に引き込み、肩の筋肉を伸ばす
- 呼吸しながら、20~30秒程度キープ
- 右腕も同様におこなう
床でできる三角筋ストレッチ
三角筋後部を伸ばす、床でできるストレッチです。
- 床に四つ這いになる
- 左腕を内側へ伸ばし、胸を床に沈めて胸を左腕に近づける
- 左腕の肩の後ろの筋肉を伸ばす
- 呼吸しながら、20~30秒程度キープ
- 右腕も同様におこなう
台を使ってできる三角筋ストレッチ
三角筋前部を中心に伸ばす、台を使ってできるストレッチです。
- 左膝を立てて床にしゃがむ
- 40cm程度の台を身体の右側に置く
- 右肘を曲げ、右肩を後ろに引き、台の上に右手を置く
- 身体を軽く前傾させ、右肩の前部を伸ばす
- 呼吸しながら、20~30秒程度キープ
- 反対の腕も同様におこなう
引用:VALX