成長痛と成長期スポーツ障害は別物?!成長期に起こる障害とは
子供が成長期に差し掛かるとご両親にとって心配事が増えてくるものだと思います。例えばそれは思春期特有のコミュニケーションを取りたがらない、喧嘩が絶えない、ホルモンバランスの乱れによるイライラなど様々なことがあります。
今回はそんな中でも成長期に起こしやすい痛みについて記事を書いていきたいと思います。例えばそれは単純なケガもあればいわゆる成長痛と呼ばれる痛みも含めて色々と解説していければと思います。それでは記事を始めてまいります。
成長期に起こる障害-成長痛
子供が足の痛みを訴えて病院へ行き、レントゲン検査をしても異常が見つからないと、「成長痛」と診断されてしまうことがあります。しかし実際には、「成長痛」と「成長期スポーツ障害」とは全くの別物。両方とも成長期の子供に起こる足の痛みという点は同じでも、成長痛とは異なり成長期スポーツ障害は対治療が可能な「障害」の1つです。
まず「成長痛」とは幼児から思春期の成長期に起こる足の痛みの総称で、特に膝の痛みを訴えるケース多く、かつ数時間後には痛みが消失し遊んでいるときや学校に行っている間に症状が現れることもありません。中には成長痛を「骨が成長することで起こる痛み」という人もいますが、実際骨の成長が痛みを引き起こすのであれば足だけでなく腕など他の部位も痛むはずですから、これは間違い。勿論検査でも異常が認められないためハッキリとした原因は分からないのですが、子供の足は筋肉、骨、関節がまだ未熟な状態であるにもかかわらず日中元気に走り回るため、筋肉疲労による不快感を「痛み」としてとらえるのではないか、とも言われています。
成長期に起こる障害-成長期スポーツ障害
一方「成長期スポーツ障害」は時にレントゲン検査に反映されないことがあるものの、足の特定の部分にはっきりとした異常が認められる障害の総称です。これが成長期に起こりやすいのは、成長過程にある骨や関節は構造的に弱いにもかかわらずスポーツによって強いけん引力や圧迫をかけ続けるためで、その負荷に耐え切れなくなってその特定の部分に炎症や剥離骨折などが起こるのです。
その代表的な例が、「オスグッド病」。通常人は膝を伸ばす際に太ももの前側にある大腿四頭筋が収縮して膝のお皿に下にある脛骨結節を引っ張ることでこの動作を行うのですが、成長期の子供は軟骨部分が多くて脆いため、脛骨結節を何度も引っ張っていると軟骨の一部が剥がれてしまいます。これがオスグッド病で、走ったりジャンプしたりといった膝の激しい屈伸運動を何度も繰り返すスポーツをしている子供に多く見られます。
また「シーバー病」もオスグッド病と並ぶ成長期スポーツ障害の1つで、こちらはアキレス腱が踵の骨を強く引っ張る動作を続けることで起こります。大人であれば踵は一続きのしっかりとした骨になっていますが、成長期の子供の踵は「骨端核」と「成長軟骨」に分かれていて脆い構造になっているため、走ったりジャンプしたりといった動作でアキレス腱がこの部分を強く引っ張ると、やがて耐え切れなくなって炎症を起こしてしまうというわけです。
まとめ
今回は成長期の障害について記事を書いてまいりました。文中にもありますが、いわゆる成長痛はスポーツ障害とは異なり、原因がよくわからないこともしばしばありますし膝や脛に痛みが出ることで骨が伸びているから痛みが出ると思われがちですが、子供によっては痛みが肘に出る、二の腕に出るということもあります。
しかしながら痛みがケガから来ていることも、もちろんありますからお子さんが痛みを訴えたときにはまず専門家に相談するようにしましょう。あるいはとりあえず様子見をする場合は以下のようにご自宅で出来るケア方法を試してみてください。
痛みを和らげるケア法と注意点
強い症状が現れた場合は、2~3ヶ月間の安静が必要になります。サッカーやバスケットボールなどの部活動に入っていて試合が近い、大会を目指しているなど、「そんなに練習を休めない!」と感じるケースもあるかもしれませんが、後遺症などのリスクを考えると、この時期は思い切って休む対応がベストです。
痛みを軽くするためには、氷を使って膝の皿の下を冷やすアイスマッサージや、太ももの前にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)のストレッチなどが効果的です。ただし、やり過ぎは逆効果にもなるので注意しましょう。
成長期の骨はまだ弱いため、ハードなストレッチを行うと骨の一部が筋肉や靱帯に引っ張られて剥離骨折(はくりこっせつ)を起こす可能性があります。また、必要以上に冷やすと筋肉が硬くなって血流が悪くなり、成長を妨げてしまう場合もあるので、様子をみながら行うことが大切です。
休息をとって痛みがなくなったように感じても、運動を再開すると再発する場合もあります。できるだけ患部に負担をかけないよう、練習時にサポーターやベルトを使用するなど、対策をとることをおすすめします。
引用:痛みWITH