もし交通事故にあってしまったら…損しないために知っておきたい4つのこと

2018年6月16日

あなたの身近な人が交通事故にあってしまったら…

そして、もしあなた自身が交通事故にあってしまったら…

そんなことを考えたことがあるでしょうか?

自分が事故に巻き込まれるはずはない!と思っている方は多くいらっしゃるでしょう。

しかし、みなさんにお聞きしたいことがあります。

「交通事故後の対応で人生が変わってしまった」方がいるという事実をご存知でしょうか?

事故から数か月後、急に頭や首、腰に激痛が…。

しかし、痛みが出る前に、示談をしてしまっていたため、保険の適応が受けられない。

激しい痛みで仕事も手に付かず、自己負担で事故後のケアを送る日々。

こればかりはどうすることもできません。

あなたの大切な人が、そして、あなた自身がこんな思いをする前に、知っておいてほしいことがあるんです。

今回は、万が一交通事故にあってしまう前に知っておきたい交通事故に関する基礎知識をご紹介していきます。

1.交通事故の厳しい現状

飲酒運転での死亡事故や高齢者による自動車事故。

交通事故に関するニュースを耳にしない日はありません。

警察庁の統計では、交通事故発生件数のピークは、2004年の952,720人とされています。

一方で、日本の交通事故死者数のピークは、1970年の16,765人。

「交通戦争」と呼ばれるほど、事故が多い時代でした。

(出典:致死率及び死者数の推移―内閣府)

これは、内閣府が発表している交通事故の致死率と死者数の推移です。

平成26年中に起きた交通事故は57万3842件で、前年と比べると、5万5179件、8.8%減っています。

また、これによる死傷者数も71万5487人と、前年よりも7万380人、9.0%減少しています。

交通事故による死者数は14年連続で減っており、1970年のピーク時の4分の1以下となっています。

しかし、交通事故死者数の減少幅がだんだん縮小していることが、表からも分かるでしょう。

さらに、致死率については、24年から2年続けて上昇しています。

つまり、死者数が減りにくい厳しい状況にあるのです。

この背景にあるのが、次の3つの理由です。

①高齢者人口の増加

他の年齢層の人口が減少していくのに対して、高齢者人口は増加し続けています。

また、高齢者の致死率が他の年齢層の約6倍も高いことも、死者数の減少幅が縮小している理由だと考えられています。

②シートベルト着用者率

これまで、シートベルト着用率の向上は、死者数の減少に大きく貢献してきました。

しかし、平成19年ごろから、90%台前半で横ばい状態が続いています。

シートベルト着用者率がかつてに比べ伸び悩んでいることも、理由のひとつです。

③飲酒運転

人身事故全体に対する、飲酒運転による人身事故の件数が増加傾向にあります。

近年、飲酒運転による事故が下げ止まり状態になっていることも要因だと考えられています。

(参考:平成26年度交通事故の状況及び交通安全施策の現状―内閣府)

2.交通事故の原因

ここでは、警察庁発表の「平成27年度交通事故発生状況」より、交通事故の原因ワースト5をご紹介します。


1位 安全不確認
2位 わき見運転
3位 動静不注視
4位 漫然運転
5位 運転操作不適格


【交通事故原因】

1位 安全不確認

交通事故原因の約30%を占めるのがこの「安全不確認」です。

死亡事故の大きな原因でもあります。

安全不確認とは、十分な安全確認を行わないことです。

例えば、一時停止をしたとしても、運転席の死角にいた歩行者を見落とし、事故に発展した場合は、安全不確認となります。

自分の周りに「危険となるものがあるかもしれない」という意識を常に持つことが大切です。

【交通事故原因】

2位 わき見運転

安全不確認の次に多い原因が、「わき見運転」です。

全体の15.9%を占め、死亡事故の発生原因でも上位となっています。

わき見運転とは、前方を見ずに運転することです。

携帯電話を操作したり、車外の景色を見ていたりと、わき見運転の理由はさまざまです。

運転以外のことをする際は、きちんと車を止めてから行い、危険を見落としたり、発見が遅れたりしないようにしましょう。

【交通事故原因】

3位 動静不注視

全体の11.0%を占める「動静不注視」は、事故相手に気付いていながら、判断ミスによって、その後の動きに注意しなかったことを意味します。

安全不確認と混同してしまいがちですが、安全不確認は、安全確認をきちんと行わなかったために事故相手に気付かなかったり、発見が遅れたりする場合を指しており、動静不注視とは異なります。

例えば、交差点で左折するときに、対向車が見えたが「停止するだろう」と判断したが、事故に発展したというケースなどが挙げられます。

自分にとって都合の良い判断をし、思い込みによる運転をするのではなく、「かもしれない運転」を行いましょう。

【交通事故原因】

4位 漫然運転

「漫然運転」は、全体の7.8%を占め、死亡事故原因では1位となっています。

漫然運転とは、その名の通り、考え事をしていたり、ボーっとしていたりと、集中力や注意力が低下している状態で運転をすることです。

めったに運転しない人や免許をとってすぐの人のように運転に対して緊張感を持っている人よりも運転に慣れている人の方が陥りがちです。

車を運転するときは、適度な緊張感を持ちましょう。

【交通事故原因】

5位 運転操作不適格

全体の6.3%を占める「運転操作不適格」は、死亡事故原因では2位となっています。

運転操作不適格とは、ハンドル操作の誤りやアクセルとブレーキの踏み間違いなど、正しい運転操作をできなかった場合を指しています。

このほかの原因としては、一時不停止や信号無視、最高速度違反などが挙げられます。

信号無視の場合、示談において、道路交通法の基本秩序を乱したとして、過失は原則10割と算定されます。

また、最高速度違反、いわゆるスピード違反は、死亡事故など危険性が高い事故が発生しやすいため、無免許運転や飲酒運転とともに「交通三悪」と呼ばれています。

このように交通事故にはさまざまな原因がありますが、ほとんどの事故は緊張感や心がけなどで未然に防ぐことができます。

自動車は、人の命を奪う凶器にもなるのです。

今回ご紹介した原因を頭の片隅に置いて、安全運転を心がけましょう。

(参考:平成27年における交通事故の発生状況―警察庁交通局)

3.自動車保険の種類

交通事故が起きると、被害者は加害者に対して損害賠償請求を行う権利があります。

この際、多くの場合では、加害者が加入している保険会社と交渉を行うことになります。

自動車の運転手が加入している保険は、次の2つです。

①自賠責保険(正式名称:自動車損害賠償責任保険)

自賠責保険は、自動車損害賠償保障法によって、すべての運転者に加入が義務付けられている損害保険です。

また、そのことから、「強制保険」とも呼ばれています。

自動車損害賠償保障法では、責任共済制度も定められています。

ひき逃げで加害者が不明な場合や加害者が自賠責保険や共済に加入していない場合は、政府の保証事業を利用することも可能です。

②任意保険

自賠責保険や共済では、賠償金額すべてをまかなうことが難しい場合もあります。

このように限度額を超える損害賠償をカバーするために、多くの運転者は任意保険に加入しています。

加害者が任意保険によって損害賠償を支払う場合、被害者は任意保険会社の担当者と直接交渉することになります。

大きなケガを負い、多額の損害賠償を求める場合には、弁護士などの専門家に相談した方が良いでしょう。

4.弁護士に依頼するメリットとデメリット

交通事故にあったとき、弁護士に依頼するべきかどうか悩む人も多いようです。

ここでは、弁護士に依頼するメリットとデメリットをご紹介します。

【メリット① 被害者自身が保険会社とのやりとりを行わなくて済む】

通常、被害者自身で加害者が加入している保険会社とやりとりをしなければなりません。

どのように保険会社とやりとりするべきなのか悩んだり、やりとり自体にストレスを感じてしまったりする方も多いでしょう。

また、漠然とした不安を抱えている方がほとんどだと思います。

しかし、弁護士に依頼すれば、このような保険会社とのやりとりを全て弁護士に任せることができるので、不安も解消され、治療に専念できるでしょう。

【メリット② 賠償額の増額が見込める】

被害者にとってどの程度の賠償金を受けとれるかという点にも大きな関心があるでしょう。

保険金には、次の3つの基準があります。

・自賠責保険の基準
・任意保険会社の基準
・裁判所の基準

任意保険会社の基準は、裁判所の基準よりも低く設定されています。

弁護士に依頼をすることによって、裁判所の基準で示談交渉が行われるため、賠償額の増額を見込めるのです。

【メリット③ 法的なアドバイスを得られる】

自動車どうしの交通事故の場合、被害者にも一定の過失があると主張されるケースがあります。

このような責任割合などの主張に対して、被害者としては納得できないと感じることもあるでしょう。

法的な主張に対して、被害者自身が反論することは難しいですが、弁護士は法律の専門家です。

相手方との間で争いが生じている場合に、法的なアドバイスをしてくれるというのもメリットといえます。

【デメリット 弁護士費用がかかる】

弁護士に依頼する際のデメリットは、やはり弁護士費用がかかってしまい、実質的に受け取る賠償金が減ってしまうことです。

最近では、自動車保険に「弁護士費用特約」をつけている方も多くいらっしゃいます。

被害者自身や被害者の同居の家族などが加入している保険にこの特約がついていれば、弁護士に依頼した際の費用を被害者側の保険会社が負担してくれます。

そのため、費用面の心配をせずに弁護士に依頼することができます。

ただ、最近は、無料で相談できる弁護士事務所も多くありますので、悩んでいるときは相談だけでもしてみると良いでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、交通事故に関する基礎知識をご紹介しました。

普段、他人事として考えてしまいがちな交通事故。

しかし、自分自身が事故を起こさなくても、巻き込まれる可能性があるのです。

万が一に備えて、交通事故に関する知識を身につけておきましょう。