ポケモンGOの世界的ブームで交通事故は増えた!?「ながらスマホ」はダメ、絶対!
1年ほど前には、社会現象ともいえる盛り上がりを見せていた「ポケモンGO」。
今は大分落ち着いた様子ですが、このゲームを知らない人はいないでしょう。
ポケモンGOが世界的なブームになったと同時に、ポケモンGOによる交通事故の増加も問題視されましたね。
はたして、ポケモンGOの登場によって交通事故は増えたのでしょうか?
死亡事故原因3位「わき見運転」
警察庁が発表した「平成25年中の道路交通事故の状況」によると、交通死亡事故の原因割合は次の表のようになりました。
(出典:内閣府「平成25年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況」)
死亡事故の原因としてもっとも多いのが「安全運転義務違反」。
死亡事故のうち57.8%を占めており、その他の原因と比較するとかなり高い割合であることが分かります。
これは、人身事故を起こした場合、基本的にこの違反に問われることになるためです。
安全運転義務違反の具体的交通事故の原因ワースト3は次の通りです。
1位 漫然運転
2位 運転操作不適
3位 わき見運転
1位 漫然運転
安全運転義務違反の中でもっとも多いのが「漫然運転」です。
漫然運転とは、その名の通り、考え事をしていたり、ボーっとしていたりと、集中力や注意力が低下している状態で運転をすることです。
めったに運転しない人や免許をとってすぐの人のように運転に対して緊張感を持っている人よりも、運転に慣れている人の方が陥りがちだといわれています。
車を運転するときは、適度な緊張感を持つようにしましょう。
また、集中力が欠けていると感じたら、早めに休憩をとるようにしてください。
2位 運転操作不適格
事故原因で2番目に多いのが「運転操作不適格」。
これは、ハンドル操作の誤りやアクセルとブレーキの踏み間違いなど、正しい運転操作をできなかった場合を指しています。
3位 わき見運転
そして、第3位が「わき見運転」です。
全体の21.9%を占め、死亡事故の原因としてかなり上位となっています。
わき見運転とは、前方を見ずに運転すること。
携帯電話を操作したり、車外の景色を見ていたりと、わき見運転の理由はさまざまです。
運転以外のことをする際は、危険を見落としたり、発見が遅れたりしないように、きちんと車を止めてから行わなくてはいけません。
このように交通事故にはさまざまな原因がありますが、ほとんどの事故は不注意や判断ミスなどによって起きているのです。
自動車は人の命を奪う凶器にもなるということを認識する必要があります。
(参考:警察庁交通局「平成25年中の道路交通事故の状況」)
ポケモンGOによる死亡事故
ポケモンGO人気が加速する中、日本でも、自動車運転中の「ポケモンGO」による脇見事故も問題視されるようになりました。
スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」をしながらの運転で男児をはねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)に問われた愛知県一宮市木曽川町、会社員、川合信右被告(36)に対し、名古屋地裁一宮支部(村瀬賢裕裁判官)は8日、禁錮3年(求刑・禁錮4年)の実刑判決を言い渡した。
川合被告は昨年10月26日夕、一宮市あずら1の交差点でトラックを運転中、助手席に置いていたスマホに表示させたゲームに気をとられ、横断歩道を渡っていた同市の小学4年、則竹敬太さん(当時9歳)をはね、出血性ショックで死なせたとして起訴された。
公判で川合被告は起訴内容を認め、被告人質問では「愚かなことをした。『ながら運転』は危険との認識がなかった」と述べた。
検察側は冒頭陳述で川合被告のスマホに残っていたポケモンの8割は運転中に捕まえたものと主張し、論告で「安全への意識が希薄」と指摘した。
弁護側は執行猶予付き判決を求めていた。
則竹さんの父崇智さんは事故後、ながらスマホの厳罰化を訴え、国家公安委員長らと面談した。
法廷では「悲惨な思いをする人をなくすためには少しでも重い刑を科すしかない」と意見陳述していた。
このように頻発する事故は、ポケモンGOブームに暗い影を落としていくことになりました。
ポケモンGOによる事故、推定約10万件以上
それでは、ポケモンGOの世界的なブームにともなって、交通事故の件数は増えたのでしょうか?
パデュー大学のMara Faccio氏とJohn J. McConnell氏は、実際にゲームが交通事故に与えた影響を調べました。
1988年以降、アメリカにおける交通死亡事故の件数は減少を続け、1988年に42,130件だった交通死亡事故は、2011年には29,867件にまで下がっています。
しかし、その後、死亡事故が増加し始め、2016年には37,461件にも上りました。
このような事故件数上昇の背景には、スマートフォンの普及があると考えられています。
しかし、交通事故の原因はさまざまで、それらが複雑に絡み合っている場合もあり、一つに絞るのは難しいことです。
そこで、Faccio氏とMcConnell氏は、交通事故データとポケストップを照らし合わせながら、「人々がスマホを眺めていたであろうポケストップの近くで事故件数が増えているか」を調べました。
ポケストップとは、ポケモンGOのマップ上に多数存在し、経験値や道具などを入手することができる場所です。
事故データの対象期間は、2015年の3月1日から2016年の11月30日。
ポケモンGOは、2016年の7月6日にリリースされ、7月末には1億ダウンロードを記録しています。
その結果、地域全体で事故の件数も上昇していましたが、ポケストップの周囲100メートルでは事故の発生率が26.5%も高くなっていたのです。
また、リリース後に増えた事故件数の減少度合いは、ユーザーの減少の度合いと一致していることも明らかになりました。
つまり、ゲームに人々が飽きたことで事故も減ったということです。
メーカーはすでに、運転中のプレイを防止するような措置をとっています。
(参考:Mara Faccio, John J. McConnell “Death by Pokémon GO”)
まとめ
みなさんは、このような研究や事故の報道を聞き、どのようなことを感じたでしょうか?
事故防止の対策は、今後も考えていく必要があります。
今回は、車の運転中にゲームをしていたために起きた交通事故についてご説明しましたが、以前から駅のホームや歩行中にスマホを使用している人が多いことも問題視されています。
「歩きスマホ」については、法律や条例で規制すべきかどうか、賛否両論があって議論が盛り上がっています。
一人ひとりが意識を変える、もしくは歩きスマホをしている人の意識を変えるように取り組んでいかなくてはいけません。