働き盛りの男女を悩ませる頭の痛み!緊張型頭痛とは?
日本人、それも女性に多いとされる厄介な悩み、頭痛。特に器質的な原因が見られない「一次性頭痛」に悩まされる女性は、男性と比べて4倍以上多いと言われています。実際、仕事に忙しい20~40代女性の中には、いつも鎮痛剤を持ち歩いているという人も少なくないのではないでしょうか。
そんな一次性頭痛の中でも最も多いのが「緊張型頭痛」と呼ばれる疾患で、15歳以上の日本人のおよそ5人に1人はこのタイプの頭痛に悩まされていると言います。先ほどの男女比率で言えば、女性の有病率は男性の1.5倍、同じ一次性頭痛の代表選手である片頭痛と比べればかなり低いものの(片頭痛の場合有病比率は男性:女性=1:3)、やはり多くの日本人女性を悩ませる疾患となっています。
いずれにしても有病者にとっては日常生活に支障をきたす厄介な疾患となりうるため、緊張型頭痛の予防法や対策法を知っておくことは非常に大切です。そこで今回は、この働き盛りの男女を悩ませている厄介な痛み、「緊張型頭痛」についてご紹介していきたいと思います。
緊張型頭痛とは?
緊張型頭痛は先ほどお伝えした通り、器質的な原因が見られない「不定愁訴」の1つで、このため脳腫瘍やくも膜下出血などとは異なり、レントゲンやMRIで調べてみても頭痛を引き起こしている具体的な原因を見つけることはできません。症状としては、後頭部を中心に頭全体が締め付けられているかのような痛みがあったり、頭に大きな荷物を載せられているかのような重みや鈍痛を感じたりすることが多く、その他軽いめまいや体がフワフワと立ち眩みを起こしているかのような感覚を覚えることもあります。
実はこの症状の程度が片頭痛との大きな違いで、片頭痛の場合脈拍と連動してズキンズキンと周期的に激しい痛みを感じ、体を動かすと更に頭痛がひどくなるため日常生活が困難になるのに対し、緊張型頭痛は鈍痛があるものの体を動かしても痛みがひどくなるわけではないため、我慢すればなんとか仕事や家事を行うことも可能です。また片頭痛は1ヶ月に1~2回起こるのに対し、緊張型頭痛は短時間で治る「反復性緊張型頭痛」と、ほぼ連日、しかも時にはそれが何年も続く「慢性緊張型頭痛」の2種類に分けられます。また慢性緊張型頭痛の場合痛みや頻度が徐々に増していくという特徴もあります。
緊張型頭痛の原因は?
緊張型頭痛の原因は今のところハッキリとは解明されていませんが、恐らく筋肉の収縮が直接の原因になっているのではないかと言われています。例えば長時間のデスクワークや車の運転、スマホやゲーム機の使用などで不自然な姿勢を続けていると首や肩の筋肉が緊張して神経を刺激しますし、高さの合わない枕を使用していることでも同様の筋肉疲労を引き起こします。特に頻度が少なく痛みの程度も軽い「反復性緊張型頭痛」はこれらの物理的なストレスが原因とされており、このため仕事の疲労が溜まってくる時間帯になると発症するという人が多いのです。
一方、これら物理的なストレスだけでなく、仕事のプレッシャーや人間関係、不安や緊張と言った精神的なストレスも交感神経を過剰にし、筋肉の緊張を高めることでやはり頭痛を誘引します。そのため精神的なストレスと物理的なストレスの両方を抱えている人は、頭痛が毎日続き段々と悪化していく「慢性緊張型頭痛」を発症する可能性があります。またこういった要因から、うつ病などの心の疾患が併発しているケースも珍しくありません。
緊張型頭痛の対策・予防法は?
頭痛があまりにも長くひどい場合は鎮痛剤や筋肉の緊張を和らげる筋弛緩剤、不安を取り除く抗うつ剤などの薬物療法で対処することができますが、これらはあくまでも対処療法であり、根本的な解決のためには物理的・精神的なストレスを高めない、あるいはそれをため込まないようにすることが必要です。物理的なストレスへの対処・予防法としては、うつむき・前かがみにならないよう姿勢を正す、パソコンやスマホなどの使い過ぎに注意し、時折休憩を入れて遠くを見たりストレッチをするといったことができますし、精神的なストレスへの対処法としては、一日の終わりにアロマテラピーや好きな音楽を聴いてリラックスする、信頼できる友人に悩みを聞いてもらう、お風呂にゆっくりと浸かる等々、それぞれ自分に合った方法を実践することができるでしょう。特に入浴は筋肉の緊張をほぐすという物理的な効果もあり、お勧めです。
まとめ
現代病の1つともいえる緊張型頭痛は、痛みの程度こそ比較的穏やかなものの、長く続くとそれ自体が大きなストレスとなってしまい心身ともに悪化してしまう危険性があります。毎日ぼんやりとした頭の痛みがある、肩や首の凝りも併発している、パソコンやスマホを使った後に痛みがある・・・という人は、緊張型頭痛なのかもしれませんので、ご紹介した方法でストレスを和らげるようにしてください。それでも改善されない場合には、専門家に診察してもらうと良いでしょう。