「胃下垂は太らない」は本当?胃下垂の原因とは
世の中では肥満は大敵、あるいは体重の多い方は自己管理が出来ていない、などと心無いことをいう方がいらっしゃいます。確かに肥満が進むと生活習慣病であったり、膝や下半身に悪影響を及ぼしてしまうのでいいことはあまりないのは事実ですが、実は痩せすぎというのも身体に悪影響を及ぼします。
例えばそれは筋肉が少ないことで冷え性になってしまったり、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)という疾患になったり、免疫力が落ちてしまう、など様々あります。また今回ご紹介する胃下垂もそういったやせすぎな方によく起こる病気の一つです。
知名度は高いので名前はご存知かと思いますが、胃下垂がどのような病気で身体にどのような影響がでるのか確認してまいりましょう。
胃下垂とは
一般に「食べても太らない病気」と言われることも多い胃下垂ですが、より正確に言うと「胃下垂」それ自体は病気ではありません。
胃下垂とは胃が本来あるべき位置より下に下がっている状態で、「内臓下垂」の一種です。胃は本来おへそより高い位置にありますが、これが何らかの理由で下がり骨盤近くまで、さらには骨盤の中の方にまで下がっているのです。とは言え一般に自覚症状はなく、自分が胃下垂であることに気づいていない人も少なくありません。
例えば胃下垂の人は食後にお腹がポッコリと出たり少量ですぐにお腹いっぱいになったりしますが、それは自分の生まれ持った体質だと考えて気に留めていない人が多いのです。つまり胃下垂だからといって必ずしも日常生活に支障が出たり健康が損なわれたりするわけではないため、「病気」とは見なされていないわけです。
一方、胃下垂になると胃の筋肉がたるんで胃の動きが悪くなる「異アトニー」を併発する場合があります。異アトニーになると食べた食事が胃の中に長く滞留するため、胃もたれや胃酸の過剰分泌による胃の痛み、悪心、嘔吐、倦怠感などの症状が現れることになり、これは治療の対象となるでしょう。また下垂した胃が圧迫されて内臓全体の動きが低下すると、血流が悪くなって頭痛や肩こりといった症状が現れることもあります。
胃下垂の原因
胃下垂はやせ型の人に起こりやすいと言われていますが、これは腹部の脂肪や筋肉が少なく腹圧が低いために、重力に負けて胃が下がってしまうのを防ぐことができないため、と考えられます。つまり「胃下垂だから太らない」のではなく、「痩せているから胃下垂になる」というのが正解でしょう。また前述の通り胃下垂になると胃の働きが低下して胃弱になるため、太ることができません。「胃下垂だから太らない」ではなく「胃弱だから太らない」というわけです。
いずれにしても軽い胃下垂であれば体型や体質などの先天的な要因が重なって起こる場合が殆どですが、他に暴飲暴食が多い、食事の時間が不規則、食事の際に噛む回数が少ないといった食事に関係する要因、また不安やストレス、過労、出産などといった他の要因が関係して胃下垂を悪化させ胃アトニーを引き起こしてしまうことがあるようです。
また胃下垂の人は猫背であることも多く、このことから姿勢との関係も指摘されています。猫背になると体が前かがみになるため、胃が上半身の重みにによって下へ下へと押し下げられてしまうのです。更に太っていた人が急激に痩せた場合も、胃下垂になりやすいと言われています。
まとめ
今回は胃が下がることによってぽっこりお腹の原因などになる胃下垂について記事を書いてまいりました。文中にもあるように胃下垂は先天的なものを除けば暴飲暴食など食生活と生活習慣に原因があります。
また食事量を減らことが苦手な方は積極的に腹筋やお腹周りのインナーマッスルを鍛えるようにしましょう。お腹周りのインナーマッスルを鍛えることは胃下垂の予防につながるだけでなく、姿勢が良くなったり、お腹が凹むことでスタイルも良くなりますので、是非、試してみてください。
胃下垂の改善効果があるストレッチを実践する
胃下垂はお腹にあるインナーマッスルを鍛えることで改善に期待できます。
インナーマッスルは、わき腹を中心にお腹を引き締めている腹横筋を中心とした筋肉です。
この腹横筋が鍛えられていないと、お腹を引き締めることができず、内臓が下がり胃下垂を起こす原因となります。
インナーマッスルを鍛えるトレーニングはさまざまありますが、代表的なものがプランクです。
寝る前にさっと行うこともできるので、ぜひ以下のトレーニングを毎日続けて行きましょう。
<プランクのやり方>
- うつ伏せになる
- 肘を付けて上半身を起こし、腕の角度を90度にキープする
- 足指を立ててつま先で立ち、おへそに力をいれながらお尻を持ち上げる
- 目線は真下ではなく数10センチ先の前方を向き、首から背中、足まで一直線になるように維持し、30秒間キープする
プランク
プランクはインナーマッスルを鍛えるだけでなく、体全体を引き締めてくれる効果もあります。
はじめから30秒キープをするのは難しいので、膝を床について同様のポーズをとり、おへそを覗き込むようなやり方から実践していきましょう。
引用:WELLMETHOD