チカラの入れ過ぎにご用心!?テニス肘・ゴルフヒジ!

どのようなスポーツでも同じですが、運動というのはある意味、日常生活とは全く異なることをする活動です。それは例えば息が切れるまで走ってみたり、筋肉痛になるほどに身体を動かしたり、殴り合ったりするようなことは日常では行いません。

そしてスポーツにつきものなのがケガです。転倒や衝突、あるいは先のように他人とのコンタクトが多い格闘技、柔道、ラグビー、アメフトなどは分かりやすいものですが、中にはそういった目に見えるケガではなくて、練習のしすぎであったり、準備運動を行なわずに硬い身体のままスポーツをすることで起こるケガもあります。

今回ご紹介するテニス肘・ゴルフ肘は先のように練習のしすぎや無駄に力をこめすぎることによって起こるスポーツ障害(スポーツによるケガ)の一つです。それでは詳しく確認してまいりましょう。

テニス肘・ゴルフ肘とは?

名称からもお分かりいただけると思いますが、これらはテニスやゴルフによって肘を酷使することで内側や外側に炎症を起こし、痛みを引き起こす疾患です。

本来であれば肘関節の構造などについても説明したいところなのですが、肘関節付近にある筋肉の名称は長橈側手根伸筋(ちょうとうそくしゅこんしんきん)、短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)など覚えきれないような名前が多いので、三本の骨三つの筋肉が関係しているとイメージしてください。

そして肘の内側に痛みを感じるのがゴルフ肘、外側に感じるのがテニス肘です。ちなみにこの呼び方は俗称で正式名称はゴルフ肘を上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)テニス肘が上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)と呼びます。

また後述しますが、テニスをしているからといってテニス肘に、そしてゴルフをしているからといってゴルフ肘になる、というわけではなく特にテニス肘の場合は内側、外側の両方が痛くなる方もいらっしゃいます。

テニス肘・ゴルフ肘の原因は?

これは冒頭でも触れている通り、筋肉のオーバーユース(使い過ぎ)が原因です。あるいはその構造も関係しているのですが、私たちの身体や関節にはそれぞれ役割に応じた構造をしており、可動域の大きな肩関節股関節はより自由に動けるように骨頭(こっとう)と呼ばれる骨の先端が球状(球関節)になってくっついています。

一方、肘や膝などは蝶番関節(ちょうばんかんせつ)と呼ばれており、ドアの蝶番(ちょうつがい)のように一方にしか開かない構造をしています。当然、無理やり反対方向に曲げようとすればドアも肘も壊れてしまうように、言い換えれば一方にしか開かないようにロックがかかっている状態です。

けれどテニスはバックハンドフォアハンドのように肘を前後に使い分ける必要がありますので、肘に負荷が集中しやすく、ゴルフもダフッたり、飛ばそうとして無理な力を加えることでやはり肘に負荷をかけてしまいます。

また肘とは関係ありませんが、ゴルフの場合はさらにあまり上手くない内は地面をたたく(ダフリ)が多く発生することで衝撃が肩甲骨まで伝わり、そこの炎症を引き起こしたり、あるいは自分に合わないクラブを使うことでケガを助長してしまうこともありますので注意が必要です。

オーバーユースによって痛みが出る。

さて、では次に筋肉の使い過ぎについても確認したいと思います。運動の前に準備運動をする理由は身体を柔らかくしてケガを予防するためのものであるという事は皆さんご存知だとおもいます。また、運動後に行うクールダウンは疲労物質を流すことで次の日に疲れを持ち越さないために行われます。

特に冬場は筋肉や関節が硬く、夏よりも多く身体を動かさないとなかなか柔らかくなっていきません。それと同様に筋肉は使いすぎると硬くなる性質を持っているのです。

少し道を外れてしまいますが、テニスやゴルフを始めた初日にテニス・ゴルフ肘の症状が出ることはありません。初めはやったことがない運動ですし、それにかかわる筋肉量も少なく、また上手でないので無駄な力を多く使って筋肉痛になります。

そしてそれが治るころには身体は筋肉痛にならないように筋肉量を増やすことで、徐々に筋肉痛にはならない身体つきが出来上がります。その頃には段々とうまくなっていくことで練習するのが楽しくなり、時間があれば毎日でも練習するようになるかもしれません。

すると先ほどの通り、筋肉が疲労していき、硬くなっていきます。さらにその状態になっても練習を続けていくと、疲労が一日では抜けきらないようになり、蓄積され、常に筋肉が硬い状態になります。

すると筋肉そのものではなくて筋肉と骨を繋いでいる腱(けん)に負荷がかかり、ここが炎症を起こします。そして最後に痛みがやってくるというのが一般的なテニス・ゴルフ肘のプロセスというわけです。

まとめ

今回は筋肉を酷使することで痛みを発生させるテニス・ゴルフ肘について記事を書いてまいりました。文中でも触れている通り、硬くなった筋肉腱に炎症を引き起こすだけでなく、他のケガも誘発する可能性があります。

柔軟運動クールダウンをしっかりと行い、いつでも楽しくスポーツが出来るように心がけましょう。また気を付けていてもケガをしたり違和感がある場合は、やはり専門家に掛かるのが改善への近道です。身体の不調にお悩みであればお気軽に当院までご相談ください。