あなたのお子さんは大丈夫?野球肩!

一昔前であれば日本で行われる盛んなスポーツといえばほとんどが野球でした。しかし、Jリーグが発足し、ワールドカップに日本が参加できるようになると、途端にサッカー人口が急増し、いまでは野球人口よりもサッカーをする人口の方が多いといわれています。

ですがそんな中にも明日のプロ野球やメジャーリーガーを目指して日夜練習に励んでいる方々がいるのも事実です。しかし野球というスポーツは実は子供の身体にとっては負荷が大きいもので、上半身・下半身に限らずケガには注意してあげましょう。

それでは今回は野球肩という疾患について記事を書いてまいります。

野球肩とはどんな肩?

平たくいえば野球の投球によって起こる肩の炎症といえることが出来ると思いますが、この原因は様々なものがあり、主にオーバーユース(使い過ぎ)による肩の痛みの総称です。もちろん、野球だけが原因で出来るわけではなく、水泳、バレーなど肩をよく回すスポーツや首から上に重いものを持ち上げるような仕事についている方にもよく見られます。

今回はとりわけ子供の野球肩について確認していきたいと思いますが、野球肩は別名:リトルリーグショルダーとも呼ばれ、子供の時、特有の原因でケガが起こります、子供にあって大人にないもの、それは成長期です。

一見すると成長期には身体全体が徐々に大きくなっていくような印象を持たれる方も多いと思いと思いますが、実はそうではなくてまず初めに骨が伸びていき、それに追いつくように腱や筋肉が成長していき、最終的に全体が伸長していきます。

その為、成長期の骨には大人にない骨端線(こったんせん)という柔らかい組織があり、ここにカルシウムが集まることで伸びるわけですが、まだ柔らかい状態の時に度重なる負荷(オーバーワーク)衝撃などが加わると炎症を起こして野球肩になったり、骨が外れやすくなる(脱臼)をしたり、可動域の制限が起こったりもします。

野球のどんなフォームが原因?

野球の投球フォームは以下のように五つに分けることができ、その際にケガをしやすい箇所にも特徴があるので、肩に限らず肘、手首にケガが起こりやすい場合は、いずれかの動作の中に改善のヒントがあるかもしれません。

【ワインドアップ期】

ボールがグローブから離れるまでで、特別な肩への負荷は加わりません。

【コッキング期】

腕は体の後ろで肩の外転・外旋が強調されて、肩後方の三角筋、棘上筋、棘下筋、小円筋が収縮し、前方関節包や肩甲下筋は引き伸ばされて肩前面痛の原因となります。

【加速期】

手からボールが離れるまでを言い、肩の外旋→内旋の動きが強調されボールが加速します。広背筋、大胸筋、大円筋が収縮し、腕が前方に移動するときには、肘関節内側にも負荷が加わります。

【リリース減速期】

肩の内旋と前腕の回内が強調されて腕は体の前方に振り出されるため、肩後方の筋が収縮しつつ牽引されるというエクセントリックな力が生じます。よって、肩後方に痛みが発生したり、ときには肩甲上神経を圧迫(棘下筋萎縮の原因)したりします。

【フォロースルー期】

ボールが手から離れて投球動作が終わるまでを言い、腕が振り抜けて肩甲骨の外転が強調され、手指は遠心力によって血行障害を起こすことがあります。

引用:ZAMST、HP~野球肩~

それからフォームだけに気を取られるのではなく、そもそも野球の動作というのは肩に負担を掛けることも覚えておきましょう。私たちは元々、四足歩行をしていたおサルさんから進化した生物です。

ですから本来、肩から上に手を振り上げる動作をたくさんこなすようには出来ていません、それを証拠に動物園のゴリラも物を投げる時はほとんどが下投げをします。けれど、昔から続く野球のトレーニング投球方法の研究によって、人間の身体にあった投球フォームが現代では確立されていますので、どうしても早く投げたいと思って腕を早く振り切ろうとする気持ちを抑え、指導に忠実な投球ができるようにしましょう。

まとめ

今回は成長期の野球選手に多い、肩の疾患、野球肩について記事を書いてまいりました。文中でも触れている通り、成長期には骨が柔らかくてケガをしやすく、上手くなりたいという気持ちが前に出過ぎてしまって、練習を過剰にしたり、無理なフォームで練習したりしてしまうものです。

我流でうまくなれるという方は世界にほんの一握りしかおらず、その方々もケガに悩んだり、上手く成長できなかったりするわけですから、まず自分の練習方法が確立されるまではきちんと指導者のいう事を聞き、正しい練習をするのはもちろん、休む時はきちんと休むことで明日のケガを予防するようにしましょう。

肩に限らず、腰、膝、足首などスポーツによる痛みが発生した時は、お気軽に当院までご相談ください。