スポーツによる内くるぶし付近の痛み・有痛性外脛骨とは?

人がサルから進化して現在のような形になったということは多くの方が信じていることだと思います。その意見には賛否両論あるようですが、少なくとも多くの辻褄が合う内容で証明されていることは確かです。

しかしそうなると私たちはこれから先も進化を続けていき、果ては全く現在とは異なる姿になるかと思うと不思議に感じます、いずれにしても空論はさておき、人間には進化の過程で必要なくなった骨や筋肉というものが存在しています。

例えば長掌筋(ちょうしょうきん)。これは親指と小指をくっつけたときに浮かび上がる手首に出てくる筋のことなのですが、日本人の3~5%はこの筋肉が退化し、同じようにしても筋が浮かび上がっては来ません。同様に今回のテーマでもある外頸骨(がいけいこつ)もすでに必要ない骨なのですが、人間の身体には存在しており、時にこれが悪さをすることがあります。

それが有痛性外脛骨です。ではこの骨がどのようなときに痛みや炎症を引き起こすのか、当記事で一緒に確認してまいりましょう。それでは記事を初めてまいります。

有痛性外頸骨とは?

ジャンパー膝や野球肘、シンスプリントなど「筋肉の使い過ぎ」、それもスポーツによる使い過ぎで起こる疾患はいくつもありますが、中でもスポーツによっては進化の過程でなくなった「余分な骨」が刺激されて痛みを引き起こるのが「有痛性外脛骨」です。

「外脛骨」とは足の甲の内側の、くるぶしの前方足底側にある過剰骨、つまり本来あるはずのない余計な骨で、全体の約15%の人がこの外脛骨を有していると言われています。この過剰骨は普通にしていれば存在していても全く問題ない骨なのですが、これにスポーツなどの外的刺激が加わることで痛みや炎症を引き起こすことがあります。それでこの外脛骨が痛む場合を、「有痛性外脛骨」と呼ぶわけです。

有痛性外脛骨が起こるのは、この骨がふくらはぎに繋がっている腱に引っ張られて炎症を起こすためです。というのも外脛骨は「舟状骨」という足の甲の骨の内側にくっついており、この舟状骨は「後脛骨筋腱」と呼ばれるふくらはぎの筋肉に繋がる腱の付着部となっているのですが、スポーツなどによりふくらはぎの筋肉が疲労して硬くなると、後脛骨筋腱が引っ張られて舟状骨にくっついている外脛骨を刺激してしまうからです。

これはスポーツであればどんなものでも引き起こす可能性があるのですが、特に陸上競技やバスケットボール、サッカーなど走り回るスポーツに多く見られます。スポーツ以外の要因としては、偏平足の人や回内側(踵が内側へ傾いている)の人は外脛骨に負担がかかりやすいため有痛性外脛骨を起こしやすいと言われていますし、合わない靴で外脛骨付近を圧迫していることや、捻挫や打撲などの外傷がきっかけで有痛性外脛骨を発症することがあるとも言われています。

有痛性外頸骨の改善方法

有痛性外脛骨を発症すると、運動時に外脛骨付近が痛み、手で触れると硬い突起物を確認できます。この部分が炎症を起こしているため、膨張や熱感が見られる場合もあります。それでレントゲンで調べてみて確かに有痛性外脛骨であると確認されたなら、運動を中止して足を休ませる保存療法で様子を見ると同時に、温熱療法や電気刺激療法によりふくらはぎの筋肉の疲労を取ってストレッチで柔らかくしたり、運動療法で足の裏の筋肉を鍛えたりすることで、再発防止に努めます。

大抵の場合これらの治療で疼痛は軽減し、痛みがなくなればスポーツに復帰することも可能です。ただし再発を避けるため、使用する靴が足に合っているかを確認し、必要であれば足底板を使用する、運動の前後に下腿のストレッチを行う、スポーツの後にはアイシングを行うなどの予防策が必要です。

また以下のようにふくらはぎや足の裏のストレッチを日々行うことで有痛性外脛骨を予防することも可能ですから、気になる方はぜひ、行ってみてください。

目的:下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)、アキレス腱の柔軟性向上

※記載されている回数はあくまでも目安です。 疲労やご自身の体調にあわせて行いましょう!

方法1

①脚を伸ばして座る

②膝をしっかりと伸ばした状態で足の力を抜く

③足の裏にロープやタオルを掛けて自分の方に引く

※このとき、膝が曲がらないようにしましょう!!

秒数×回数 :10秒×10回

方法2

①立ったまま踵が浮かない範囲で、脚を前後に開く

②前になっている脚の膝を曲げ、前に向かって体重をかけていく

③このとき、背中を伸ばし、お尻が後ろに突き出ないようにしましょう!!

また、後ろの脚の踵が地面から離れないようにしましょう!!

秒数×回数 :10秒×10回

◦ ヒラメ筋ストレッチ

方法1

①片膝を立ててしゃがむ

②膝を立てた脚の方に体重をかける

※このとき、膝を立てた方の踵が浮かないようにしましょう!!

秒数×回数 :10秒×10回

引用:佐久平整形外科クリニック